1%支援制度フォーラム分科会2「融資」
1%支援制度フォーラム分科会2「融資」
分科会2では、融資をテーマに議論を行いました。
- 時間
午後1時から3時30分 - 会場
2階 大会議室東面 - 参加者
16人
登壇者
- ファシリテーター
鵜飼宏成氏(愛知学院大学 教授) - パネリスト
長谷川友紀氏(コミュニティ・ユース・バンクmomo 副代表理事)
加藤慶文氏(日本政策金融公庫名古屋広域営業推進室 室長)
星野博氏(NPO法人志民連いちのみや 理事長)
パネルディスカッションの内容
- 鵜飼
今日は大きく2つのテーマで進めていきたいと思っています。
最初は「資金の需要と供給」というテーマで、借り手・需要側の星野 さんの方からタイミングや種類などの実働の話をしていただいた後に、金融機関側の2名の方から資金提供の特徴についてご説明いただこうと思っています。
続いて、「金融取引に伴う固有の問題」というのがあります。金融機関サイドとしてどんなふうに問題を捉えていて、対応策を講じてきたのか、そしてそれがNPOという団体に対して通用するものなのかどうか、そんな視点からご提案していただきたいと思っております。
それでは、まず星野さんの方から、市民活動団体の資金需要の特徴ということについてお伝えいただけますでしょうか。 - 星野
私はこの二人のところからお金を借りています。どちらもビールの製造ということに関して発生しました。事業をしていこうとすると、基礎的な資金が必要になるということで、私がはじめに直面したのはビール工場とカフェを開業するときでした。カフェは、市からの助成を受けて、残り半分くらいは私が自己資金を出しましたが厳しい状態でした。
そこへさらに地ビール工場を作るため200万が必要になりましたが、なかなか難しい。そんな時にmomoのバーチャル審査というワークショップの題材になりました。
うちの団体の財政状況を見せて、「こんなところに貸せない」と怒られるような厳しいワークショップでしたが、その後実際に融資を受けることにしました。
momoはハンズオン支援を行っていまして、若いスタッフがビール工場に来て、「こうしたらいい」「こんな名前がいい」「こんなかたちが面白いのではないか」と様々な意見を言ってくれました。お金と同時に若いスタッフの知恵も与えてくれるので、こうした支援がとても重要であると感じました。
開業して5年後にカフェを改修するため、日本政策金融公庫から設備資金のお金を借りました。本当に必要なお金ではなかったのかもしれませんが、これからやっていくぞという思いをスタッフたちに見せたかったのと、私たちにとって公庫はとても利用しやすかったので借りることにしました。 - 鵜飼
これに対して、どういうスタンスで実際に融資に入られたのか、そしてハンズオン型の融資の特徴についてご説明ください。 - 長谷川
momoではバーチャル融資審査委員会というものを設けています。NPOにとって融資を受けることはハードルが高いというのが現状なので、融資を受けるということはどういうことなのかを実際にバーチャルで体験することが必要であると考えています。そういった場を設け、事業者を皆で一緒に応援するコミュニティを作ることを大切にしていますので、事業者に一度体験していただき、融資を受けてみようかなと思っていただけたらいいなと。
また、momoレンジャーという若者のスタッフが関わることが特徴として挙げられます。コンサルタントはできないけれど、一緒に解決方法を考えたり、実際に解決している人につないだりして事業者をサポートする「ハンズオン支援」というのも一緒に行っています。 - 鵜飼
バーチャル審査委員会を受けた感想をお願いします。 - 星野
仕事の関係で事業計画の大切さを知っているのもあり、自分の掲げる事業計画は完璧だと思いながら審査を受けましたが、若いスタッフに批判されたりしました。私一人に対して審査員はたくさんいて、一人が意見を言うとどんどんきつい言葉が飛んできてつらいものがありましたが、経験はないけれど熱い想いを持った若者が、お金というものをツールとしつつ事業を応援している姿を見て、お金に対する想いや志に熱いものを感じました。
いろんな若者が本業の立場から離れていろんな意見を言うダイナミズムをバーチャル審査で感じ、一宮の力にしながらお金を借りるということをしたかったというところです。 - 加藤
融資というと、創業や起業のための資金、設備資金、運転資金、つなぎ資金といったものがあります。
寄付や助成との一番の違いは、お金を借りた後に返さないといけない点です。この大原則があるので、融資は敷居が高いと感じる方も多いのかもしれません。
融資をする見極めについて、一言で言えば返済できるかできないか、という点です。また、NPOの融資に対して何をもって返済が可能かを判断するにあたり、事業収入があるかどうかが重要です。
会費や寄付だけで運営しているNPOに対して融資はできませんし、事業収入があるかという視点は、株式会社への融資との大きな違いだと思います。 - 鵜飼
次のテーマは「金融取引に伴う固有の問題の対応」という視点です。どんな視点からでも結構ですので、貸すということに伴う問題点について、NPOや市民活動団体に対して融資される際、いかなる問題を重視しているのか。そしてどう対応してきたのか教えていただけますでしょうか。 - 加藤
審査について、結論は絶対1つではないという前提があると思います。それぞれ同じ情報をもらっても導き出す回答はそれぞれ違うと思います。
金融機関も同様、同じ条件で申し込んでも全社から同じ回答がくることはないと思います。これを前提にして、人と会ったときに共感できるプレゼン力があるかどうかという視点で見ています。単純にその人を応援したくなるかどうかが大切であると思っています。
また、NPOと株式会社の違いとして、NPOは取り巻く人数が設立時から株式会社より多いということが挙げられ、そのことから、共感力が培われているというイメージがあります。
それに加えて、これから創業するうえでの審査の場合は、過去の実績が全くないので、過去の指標は参考にはなるが核心を突くものではないと思っています。 - 長谷川
momoは総額1億3000万を超える融資をしています。出資者は540人で、出資額は4600万円になります。これまで57件もの融資をしてきましたが、未だ1件も貸し倒れはありません。
momoの審査は、まず書類審査を行います。その後通過した団体と1時間の面談をし、クリアしたところに訪問調査をして、再び審査をする、というプロセスです。融資のチャンスは少なくなる分、時間をかけて審査を行っているからこそ、貸し倒れなく融資ができているのだと思っています。
また、面接の場には理事と顧問、監事が参加しますが、そのうち半分弱の方が金融機関の人間なので、本業の視点を取り入れて事業者を見ることができてきました。そして、面談のときには分からなくても、訪問調査をすることによって、事業者がどんな思いでやっているのか、周りにどんな協力者がいるのか等が分かります。こういったことを含めて融資をするか決定しているので、時間をかけて丁寧に審査することがmomoの特徴として挙げられます。 - 加藤
公庫も基本的に(momoと)同じです。まずお客様の計画書を熟読したうえで面接をします。そして現地を見に行くことで、対面式の審査をしています。実際に会って話を聞くということは外せないことであると思っています。 - 鵜飼
2人の意見を伺ってどう思いますでしょうか。 - 星野
1つの事業が生まれる揺籃期にお金を貸すのは難しいと思いますが、やはりこの時期にパブリックなサポートが入る中間支援が必要になると考えています。想いの部分を表に見える化してくれるような仕組み、貸し手と借り手の間にある中間支援みたいなことが必要なのではないかと思います。 - 鵜飼
一宮市の1%支援制度は団体の設立後の要件が無いですよね。一宮市がその制限を外しているという意味は、揺籃期のパブリックの支援という意味において、ひょっとしたら助成にもかからない、寄付にも耐えられない時の役割として、1%の市民税を使うということの役割も見て取れると理解して良いのでしょうか。 - 星野
1%支援制度は、非常に小さくて事業性の無いものも、あるいは事業性が有る継続した事業体であっても新規の事業にチャレンジしていくことに対しての補助があるので1%支援制度にはそんな機能があるのかなと。もう少し事業性で言うと、補助、助成ではできないものも公金で育てていく部分があると思う。融資にもパブリックなところがサポートしていくのはありなんじゃないかと考えています。 - 鵜飼
そのパブリックというのは、保証協会とは違う意味でしょうか。 - 星野
例えばビジネスで言うと、商工会議所がサポートしてくれていますが、NPOにはあまりそこまではサポートしない。市民活動支援センターでもなかなかそこまではしませんよね。うちの場合は中尾さんであったり私がやっているのですが、事業性が無いものをどうやって事業性が有るものにするのかを一宮市市民活動支援センターでやっているのですが、そこらへんのところがいるのかなと思います。 - 鵜飼
そのあたりは今後の課題だと思いますね。 - 加藤
情報提供させていただきます。商工会員の方は商工会に相談すると思いますが、NPO法人の方は市民活動支援センターや中間支援組織を頼られると思います。
公庫では現在ネットワークを作っています。融資や助成、コンサルなどいろいろな相談内容があるのに対し、各組織にはそれぞれ得意分野があります。
そこで、まず公庫に相談に来ていただければ、融資のことに対してはそのまま公庫が対応し、助成や寄付のことであれば各組織につなぐことで、ワンストップの対応ができる仕組みです。 - 鵜飼
突然ですが鵜尾さん、ファンドレイジングという視点から、融資という視点に対して何か問題提起はありますか。 - 鵜尾
問題提起というか、せっかくの機会なので、今まで融資をされた事業でうまくいったなと思う事例を教えてください。 - 加藤
公庫に相談にくる方は赤字の方も少なくありません。ただし、赤字が止まってない会社に融資をする判断はすごく難しいです。「赤字を止めて、その後の事業活動の展開としてどうやっていくのか」ということを考えるときにお金が必要になりますが、お金があると今後の事業活動を考えるための時間を確保することができます。そして経営の改善ができて、赤字が止まる。その結果返済にも遅れが出ず事業を継続できます。公庫の利用者の9割以上がこのケースです。公庫のお金で考える時間を確保してあげられる点がやりがいだと感じています。 - 長谷川
NPO法人ふれ愛名古屋という団体は、もっとも重い障害を持った子どもたちのデイサービスをこの地域で初めて立ち上げた団体です。地域の金融機関からお金を借りることができたにもかかわらず、あえてmomoに融資を申し込んでくださいました。
お金を借りて返したら終わりという関係性は寂しいが、momoは出資者540人が支えてくれるコミュニティの仕組みがある。この仕組みに乗っかって、地域の子どもたちを支えていきたいのだと。ただ単にお金を借りるためだけではなく、お金を借りる以外のところを求めて選んでくれたということを実感できました。
(グループワーク)
- 鵜飼
グループワークでどんな議論をされたのか、何が課題だったのかということをご報告いただいてもよろしいでしょうか。 - 星野
貸す側の方ではNPOってなんだかよく分からない、何をしているのかもよく分からない、金が貸せるのかどうかもよく分からないという話がありまして、これって結構本質的なことであると思いました。
事業をやっていこうと思ったときに、NPO法人を選ぶのか、一般社団、財団を選ぶのか、個人や会社の方がいいのか、という問いかけがよくあります。
私はTPOや状況に合わせて何でも選べるといった面で、NPO法人はわりと手軽にできるのかなと思いますが、いずれにしても融資には事業性というのがついてまわるのだと思っています。 - 加藤
1つ参考になったのが、NPOで実際に活動してみえる方がいて、お金の管理や借り入れは怖くてよく分からないという話が出ました。
その方は介護をやっていまして、サービスを提供して2カ月経たないと、その間のお金が入ってこないというビジネスモデルです。しかし人件費や経費の支払いは毎月ある。そんな時、怖がらずに融資を受けて、2カ月後に入ってくるためのお金をつないでおくというのは、金融機関側からしても健全な取扱いであるように思いますし、金融機関側も相談しやすい体制を作ることが大切であると感じました。 - 長谷川
金融機関にとっては、NPOに対してどう審査したらいいのか分からない。NPOにとっても融資はすごくハードルが高くて、お金は返さなくちゃいけないけれども、本当に自分たちが返せるのだろうかというところが不安で、なかなか借りるところまで二の足を踏んでしまうのが多いよねと。
例えば、行政は毎年同じところばかり助成して応援しています。しかし、行政として予算をきちんと執行しなくてはいけないという意味では、ある程度信頼できる団体に対して応援をしますが、毎年同じ団体に出してしまうと、本当は融資を受けられるような団体だったとしても助成金に頼ってしまう。このような構図が生まれると、なかなか次につながらないので、つなぐ役割が必要だと思っています。
また、融資のメリットは何か分からないという話もありました。融資とは持続的な活動をするためのお金であるというところで、NPO側が地域や社会の課題解決に挑み続けるためには、自分たちが持続的に活動し続けなくてはいけない、そのために融資という選択肢も必要なのだという視点に立っていくことが大事であると思います。 - 鵜飼
追加でご指摘したい点はありますでしょうか。 - 会場
私は役所で3月までNPO支援、4月から企業の支援を主に行っています。行政の補助はどちらかというと、助成金や補助金が多くて、我々の市でも団体の固定化というのが以前の課題でした。
同じ団体に張り付いてしまうということは団体の自立にとってもよくないだろうということで、そういった団体を助成の審査から一気に落としたときがありましたが、かなりいろいろ言われてしまいました。
切ることは一方で正しかったとは思います。ただそこでもう一歩、「融資を受けていただくことが更なる持続的な活動に繋がるんですよ」という一言を言えていればよかったなあと思いました。 - 鵜飼
「ビジネスモデル」という点について。公庫は創業支援の中で、その経営者を見るのか、ビジネスモデルを見るのかといったときに、人を見るのではなく会社組織としてどんなビジネスモデルをもって事業を展開しているのかを見続けている。年間500件以上の融資の審査を担当者1人が行う中、ビジネスモデルというもののありようというのは、大数の法則で大体分かってくるのだと。
逆に言うと、仕組みとビジネスモデルがしっかりしているところに融資がいかされ、効果がはっきりされていく点では営利企業も非営利企業も変わらないので、NPO法人だからといって審査のあり方を変えるということはしていないという考えがすごく印象に残りました。
助成金、寄付金、融資というものの「融資のあり方」というのがよく分からない、要は借りることが怖いのだと。怖いという先入観と、ビジネスモデルというものをしっかり考えていくということは裏腹の関係であり、しっかり考えていないから怖いのだということのような気がしますけれど、いかがでしょうか。 - 星野
事業性やビジネスモデルの話で言えば、NPOや社団、財団、株式会社、個人等はなんら変わらないという視点を持っています。事業のためのツールを中身と動きやすさで選ぶだけで、ビジネスモデルはなんら変わらないと思っていますし、NPOだからといって特別に貸さないということもひとつの手だとあえて思っています。
大きなハードを分割して返済していくのをソフト化することにより、効率性のある事業展開ができるということについて、我々もトレーニングしていかないといけないし、サポートをしていきたいと思っています。 - 鵜飼
もう1つ思ったのが、ワンストップサービスという表現が出ていましたけれど、やはり何を相談していいのか、どんな相談をすればいいのか、というように、相談をする場所があっても相談するきっかけがわからないという側面も見え隠れしているように思います。
融資をされる側、あるいは市民活動支援センターとして活動体を支えていく、時には相談に乗ったりする立場において、今後どんな相談体制、いかなる相談の呼びかけ方があった方がいいのかということについてどうお考えでしょうか。 - 星野
先ほどビジネス支援センターから事業者や企業者が市民活動支援センターに来るという話をしましたが、うちの市民活動支援センターはまあまあの経営サポート力があると思っています。
人間力を磨いて、事業性のあるところを支えていきたい。これは行政側の担当者も同じ気持ちでいますので、もう少し強く言っていきたいと思います。 - 加藤
公庫の課題として、確かにネットワークは構築しましたが、まだまだ周知できていないと思います。
構築しても知れ渡らないと機能しません。例えば相談された方が成功されて、「あの時相談してよかった」というベストプラクティスを拡散してもらわないと敷居は低くならないというところで模索している状況です。 - 長谷川
ワンストップでサービスが提供できる点について、ソーシャルビジネスサポートあいちという仕組みを作っています。
ソーシャルビジネスの事業者を様々なところが連携して応援することにより、その事業者の問題を一緒に解決していきましょうという趣旨でやっています。
そのネットワークの中で、momoは金融機関向けに作成した「白書」というものを使いながらセミナーを実施させていただいています。代表の木村が各地にお邪魔して、NPOのことを謳ったりNPOの融資というものを周知する活動もしています。
また、momoとしての動きという意味では、東海労働金庫さんと一緒に年間100万円を上限としてNPOを支援する「NPO育成助成」というプログラムを行っていますが、今年からやり方を変えて、「組織基盤強化助成」に取り組んでいます。これはNPOの事業に対して助成をするのではなく、組織の基盤や組織自体を強化していくために助成金をつけるというものです。
なぜ組織基盤強化助成に切り替えたかというと、そもそも団体が育っていかないと、融資は受けられません。東海労働金庫さんもNPOへの融資の制度を設けていますが、なかなか利用する団体が増えていきません。そうした中で、まずは助成金で団体を応援して、成長した団体がきちんとしたビジネスモデルを作れるように支援する。その結果、融資という選択肢も増えるようになるのではないかということで、融資の前段階を支援するようになったというのがここ数年の動きです。 - 鵜飼
これからの融資について、NPOに対する、あるいは市民活動に対する融資のあり方というのがイメージできるのでしょうか。 - 加藤
私は一言、「選択肢が増えている」ということだけ分かっていただければ結構です。それぞれニーズや場面等があるので、助成や寄付のほか、融資も選択肢の1つとして皆さんに覚えてもらって、怖がらずに相談すれば何か道は開けるというような、共通の選択肢として融資もあるということを受け取っていただければ幸いです。 - 星野
補助、寄付、融資という中で、融資こそが事業の自立性を見出していくものだと思っています。
介護事業をしているところの2カ月というお金も、はじめはお金がないので四苦八苦しています。例えばそれが500万だとすると、借りたものが徐々にソフト化して減っていき、10年で返し終われば、その500万というのは借りずに自分のところの事業資金として回るようになっていく。それは、やはり自立化への道の1つだと思います。
ビジネスモデルの話で言えば、ビジネスとしてやれるようにもっていくこと。これがNPOとしての自立化であるし、志をもってお金を回していき、地域へ志を返していくということの根本にあるように思います。
また、補助、寄付とは全く別のあるべきツールであり、機動性というのもあります。そういった面でも、融資というのはありだと思います。 - 長谷川
金融機関にとってもNPOにとってもまだハードルが高いのが現状です。ただ、ネットワーク組織もできて、着実に一歩ずつ進んでいるのも事実だと思います。
つないでいくということが大事だと考えたときに、単に金融機関だけが変わるのではなく、行政やNPO側、間をつなぐ助成財団やNPOバンクも意識を変えていかなければいけません。
持続可能な未来を作っていくためには、今までのやり方について皆が見直していかないと、なかなか実現できないのだと改めて思いました。 - 鵜飼
最後の最後にお三方から、一宮市の1%支援制度に対してどんな感想をもたれたのか、あるいはどんな領域に期待しているのかといったようなことを一言お知らせいただけると一宮市にとって励みになるかなと思います。 - 加藤
(お2人は一宮市民で)私は青森出身ですが、この制度を青森にも取り入れたいなと素直に思ったところと、そのためには、1%支援制度は市民の方々の税金を使っているので、それがどんなかたちで地域に変化が現れたのかというようなベストプラクティスが見えたらいいなと。今後も見守っていきたいと思います。 - 長谷川
私が事務局スタッフを務めるあいちコミュニティ財団も寄付者の方が投票で選考に関わる寄付者投票を行っています。初年度は投票率が5割を超え、2年目の今年は約3割でしたので、数の単位はかなり違いますが一宮の1%支援制度よりは高いという状況です。
それはなぜかと考えたときに、寄付している方は「自分が寄付している」ということに対して明確に意識を持っているからこそ、寄付者投票という機会があると「じゃあ自分も投票してみようかな」と思うのかなと。
それに対して、1%支援制度は税金が使われるということで、日々の生活の中で、自分が納めている税金がどこに使われているのかなかなか意識しづらいと思いますので、もっと意識できるきっかけがあればと思いました。
また、一宮に住んでいる人が一宮の団体に投票することになるので、ものすごくエリアが狭く、距離感が近いことが特徴だと思います。ですので、現場に行く、団体をもっと見る機会がある、プレゼンを聴く機会がある等、身近さがもっと売りになるような仕掛けができるといいなと感じました。 - 星野
先行する市川市ではもう1%支援制度が無くなっていき、一宮市でも「このままでいいのか」という声が上がっています。
今回1%フォーラムを開くときに、市民活動全般に対してお金をどう回していくのかという面で「融資」「寄付」「補助」という大きな視点に分けて、この括りをこの段階で皆さんに発信できたことを誇りに思っています。私たちからすると、どれも市民活動を支えるツールなので、広い視点を持とうとすることがとてもいいことだと思いました。
一宮市民は自分で自発的にいろんな事業を始めたりするのが弱いところがありましたが、そんな中1%支援制度ができて、いろんな人がいろんなことを事業化できるようになって、小さな規模でもいろんな輝くものが生まれてくるようになりました。我々自身が市民として、また市民活動をしている人間は社会活動をするだけの人間であると言われるように、技術、人に伝える力、プレゼン力、アカウンタビリティ、説明責任を果たすような市民として成長していく必要があると思っています。
また、1%支援制度というフィルターを通して濃いお金になったものが、街に還流していく。この考え方は地域全般に少しずつお金を回していき、地域基盤を作っていくための基礎になっていると思っています。これから1%の心をもっと膨らませていけるような地域になるように、そしてその地域をサポートしていきたいと思います。 - 鵜飼
少なくともこの1%という点に関しては、小さな事業であったとしても自覚を持って社会に参加していくことによって、明らかに関わり方、責任感が変化してきていると思いますし、それがこの1%支援制度の大変大きな意味合いであると感じています。
また、融資という点で言えば、いくつかある選択肢のうちの1つであって、必要に応じて考えていく。けれども融資こそが、自立性をはぐくむ大きなツールでもある。だからこそ、ビジネスモデルをしっかりと計画できるような基盤を組織自体が持ち合わせていかないといけないという意味で時には前段階の支援も大切であるだろうと思います。
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