一宮市自治基本条例とその説明 第2章 市民主体のまちづくり

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ページID 1008321  更新日 2021年11月25日 印刷 

市民の権利

第5条 市民は、市が保有する情報を知る権利を有しています。
2 市民は、まちづくりの主体として、まちづくりに参加する権利を有しています。

説明

第5条は、まちづくりにおいて市民に保障されるべき権利を定めています。

  • 第1項は、第4条第1号の規定に基づき、市民は、市が保有する情報を知る権利があることを定めています。
  • 第2項は、まちづくりの主体は市民であることを明らかにするとともに、市民は、誰でもまちづくりに参加できることを定めています。

市民の役割

第6条 市民は、まちづくりの主体であることを自覚し、まちづくりに参加しなければなりません。ただし、その参加を強制されることがあってはなりません。

説明

第6条は、まちづくりにおいて市民に保障される権利に伴う責務を定めています。法的な義務として強制するものではなく、主体的に果たす役割として謳っています。

  • 幸せに暮らせるまちを築くことは、市民と市との共通の目的です。そうしたことから、まちは市民が自ら主体となってつくるものであり、市民にはまちづくりに参加する責務があることを明確にしました。ただし、参加と協働は、いずれも市民の自発的な発意と自由な意思に基づくものであり、参加又は協働をしない市民に対して参加しなかったこと等をもってペナルティーを課すなどの特別な不利益を与えないよう、市は配慮することが必要です。

※7 一般的にこの条例には、議会や執行機関に対し「こうあるべき」、「こうしてほしい」といった市民からの要望が書かれます。このことから、「要望する市民が『まちづくりなんて知らない』ではバランスがよくない」という議論が検討委員会でありました。そこで、「言い放しの市民にはならない」という認識を市民・議会・執行機関で共有すべきだという考えから、このような表現としました。

 

情報共有

第7条 市が保有する情報は、市民との共有物であって、市は、これを適正に管理し、公正かつ公平に提供するものとします。
2 市民が保有する公共的活動に関する情報は、まちづくりを進めるために有用であり、市民及び市は、これを適正に共有するよう努めます。

説明

第7条は、情報公開及び提供について、議会及び市長その他の執行機関が必要な措置を講じるべきことを定めています。

  • 第1項は、市民参加の第一歩は情報を知ることであるという考え方に基づき、市は、行政文書の開示制度だけでなく、情報の提供、公表、会議の公開などを積極的に行うことを定めています。なお、「一宮市情報公開条例」は、この条文を具体的に制度化したものと位置付けられます。
  • 第2項は、市民の持つまちづくりに関する情報を有効に活用するため、個人情報の適正な取扱いに注意しながら情報共有に努めることを定めています。なお、「一宮市個人情報保護条例」は、この条文を具体的に制度化したものと位置付けられます。

市民の参加の機会の保障

第8条 市は、市民の市政への参加の権利を保障するため、多様な参加の機会を設けるよう努めなければなりません。
2 市は、多様な方法を用いて市民の意見や提案を求め、これを市政の運営に反映するよう努めなければなりません。

説明

第8条は、市政への市民の参加を推進するために、市がすべきことを定めています。
 

  • 第1項は、市民に市政への参加の機会を保障するために必要な制度の整備について定めています。なお、家庭、仕事など様々な事情により参加が困難、あるいはできない市民も実態として多く存在しています。また、まちづくりに対する関心が低く、機会があっても参加しない市民も多く存在しています。したがって、このような事情のある人々、関心が低い人々にも参加していただけるよう、配慮・工夫しなければなりません。また、まちづくりの計画・実施・評価・見直しの各段階で参加の機会を設けることも必要です。「多様」には、こういった意味も含まれています。
  • 第2項は、市は、市民の意見や提案を求め、有用なものについては市政の運営に反映していくことを定めています。なお、「多様な方法を用いて」とは、パブリックコメント、タウンミーティング、市民参加のワークショップ、審議会、市民アンケートなど、その時代やその計画等の特性を考慮して用いていくことを想定しています。

子どもの参加の機会の保障

第9条 市は、子どものころから自らのまちに愛着を持てるよう、子どもが参加しやすいまちづくりの機会を設けるよう努めなければなりません。

説明

第9条は、市政への子どもの参加を推進するために、市がすべきことを定めています。

  • 子どもは、一宮市の将来を担う大切な宝です。子どもたちが、自らのまちに愛着を持ち、まちをよくしていこうと思ってもらえるよう、子どもが参加しやすいまちづくりへの参加の機会を保障する制度等を市は整備する必要があります。

※8 検討委員会の議論の過程で、いったん、子どもについては「参加する権利」とは言わず、「参加の仕組み」を作っていくという結論になりました。そこで、第8条の説明にその旨を書きましたが、その後、子どもの参加について独立した条文を設けた方がよいとの議論があり、意見が分かれましたが、最終的には、この第9条「子どもの参加の機会の保障」を設けました。また、「子どもとは何歳までか」も議論になりました。20歳以下(未満)、18歳以下(未満)、16歳以下(未満)、中学生まで、小中学生のみなど、様々な考えがありましたが、年齢を特定することによって幅を狭めてしまわないよう、あえて年齢は規定しないこととしました。

 

総合計画

第10条 市長は、この条例の趣旨に基づき、総合的かつ計画的な市政運営の基本となる計画(以下「総合計画」といいます。)を策定します。
2 市長は、総合計画の策定、見直し及び評価に当たっては、市民に参加の機会を保障します。
3 市長は、総合計画の推進及びその進捗(しんちょく)管理に当たっては、各事業の有効性に留意します。

説明

第10条は、市政の最も根幹となる総合計画について定めています。

  • 市が定める計画の中で最上位の計画である総合計画も、当然のこととして、「本市のまちづくりに関する最も基本的な意思の表明」であるこの条例の基本理念に沿って定められなければなりません。
  • 第1項は、地方自治法第2条第4項の規定(「市町村は、その事務を処理するに当たつては、議会の議決を経てその地域における総合的かつ計画的な行政の運営を図るための基本構想を定め、これに即して行なうようにしなければならない。」)を再定義したものですが、平成23年8月1日に施行された地方自治法の一部を改正する法律(平成23年法律第35号)で当該規定が削除されたことにより、基本構想を策定するか否かは、市町村が自ら判断することになりました。したがって、今後は、本条を根拠として基本構想を策定することになります。また、平成24年3月27日に施行された一宮市議会の議決に付すべき事件に関する条例(平成24年条例第21号)により、「本市における総合的かつ計画的な市政運営を図るための基本構想の策定、変更又は廃止に関すること」(総合計画の基本構想部分)が議会の議決事件とされました。
  • 第2項は、総合計画の策定、見直し及び評価に当たっては、市民参加で行うことが定められています。なお、「第7次一宮市総合計画」の策定及び評価において、市民アンケートやワークショップ等、様々な市民参加の機会が設けられ、市民の意見を採り入れています。
  • 第3項は、総合計画の推進及び進捗管理は、有効性の原則に基づいて行うことを定めています。

※9 市民参加については、よりよい手法を今後も模索することが必要です。

市政に関する意見等の取扱い

第11条 執行機関は、市政に関する意見、要望及び苦情(以下「意見等」といいます。)を公正かつ迅速に処理します。この場合においては、事実関係の的確な把握に努めるとともに、利害の対立する事案については、中立的な立場で処理しなければなりません。
2 執行機関は、市政に関する意見等への対応に当たっては、市民の権利利益を擁護し、公正かつ迅速な処理を図るため、適正な体制整備に努めます。

説明

第11条は、市政に対する意見、要望及び苦情の取扱いについて定めています。

  • 第1項は、市長及びその他の執行機関は、市民から寄せられる行政の運営に関する意見等への対応に当たっては、事実関係を確認した上、関係者の利害関係に配慮しつつ、中立的な立場で、公正かつ迅速に処理をしなければならないことを定めています。
  • 第2項は、市長及びその他の執行機関は、市政に関する意見等への対応に当たっては、市民の権利と利益を擁護し、公正かつ迅速な処理を図るため、適正な体制の整備に努めることを定めています。なお、市民の市政に関する意見等が個人・地域・団体エゴではなく、一定の公共性があると判断される場合は、行政の運営に取り入れ、まちづくりに活用することを目指します。

住民投票

第12条 市長は、市政に関する重要事項について、広く住民の意思を確認するため、条例で定めるところにより、住民投票を実施することができます。
2 前項の条例には、それぞれの事案に応じ、住民投票に付すべき事項、投票の手続、投票資格、成立要件その他住民投票の実施に関し必要な事項を定めるものとします。
3 議会及び市長は、住民投票が実施された場合は、その結果を尊重します。

説明

第12条は、間接民主主義制度を補完し、住民が直接市政に参加する仕組みである住民投票制度について定めています。

第1項について

 市長は、市の将来を大きく左右するような市政に関する重要な事項について、広く住民の総意を把握するため、直接、住民の意思を問う住民投票を実施することができる旨を定めています。なお、住民投票は、住民の意思を直接市政に反映できる制度ですが、実施に当たっては、少数意見の取扱いなどに慎重さを要し、また、多額の費用もかかることから、例えば市町村合併など市の将来を左右し、住民一人一人の意思を確認する必要に迫られた場合の最終手段として行われるべきものです。

第2項について

 住民投票を実施する手続は、対象事案ごとにその都度、住民投票を実施する条例を制定し、その条例で対象事案、投票期日、投票資格者、投票の成立要件などを定めることを規定しています。

第3項について

 地方自治は、あくまで市長及び市議会議員双方を住民の代表とする間接民主制が原則であり、住民投票は、それを補完し、自治を充実させる制度として位置付けられます。住民投票の結果については、決して市長及び市議会の選択や決断を法的に拘束するものではありませんが、住民の総意として尊重されるべきものとしています。

※10 本来まちづくりは、情報共有や参加、協働で進めていくべきものです。様々な課題は、住民投票まで至らずに解決できるケースがほとんどであり、その意味で、住民投票はほぼ最終的な手段という位置付けです。したがって、この条文でも「住民投票を実施する」ではなく「住民投票を実施できる」とし、恒常的な住民投票制度は設けないこととしました。

※11 住民投票は、事案によって多種多様な内容が想定されます。したがって、住民の意思をより的確に把握するためには、それぞれの事案が発生した時点で、事案に応じた内容の住民投票条例を制定する方が好ましいと考えました。例えば住民投票の投票資格者は、法で認められた参政権者が常に最適であるとは限りません。事案によっては、この条例の第9条で規定されている「子どもの参加の機会の保障」の観点から、子どもにも投票してもらうことが考えられます。またその場合、何歳から何歳までの子どもが投票資格者として適当かは事案によって異なってくる可能性もあります。

協働によるまちづくり

第13条 市民及び市は、協働によるまちづくりを推進していくものとします。
2 市は、協働によるまちづくりを効果的に推進するための制度の整備に努めなければなりません。

説明

第13条は、協働によるまちづくりについて定めています。「協働」とは、第3条の定義規定で定められているとおり、市民・議会・執行機関が、暮らしやすい地域社会のための目的や解決すべき課題を共有して、それぞれの役割と責任のもとで、お互いを尊重し、対等な関係に立ちながら、まちづくりに協力していくことをいいます。

  • 第1項は、まちづくりは、市民並びに議会及び執行機関の三者が協働をして推進することを定めています。
  • 第2項は、協働によるまちづくり推進のため、市は制度の整備に努めることを定めています。ここでいう制度の整備とは、条例などの整備のほか、組織変更など、体制の整備も含まれます。

地域活動団体

第14条 地域活動団体は、地域内の住民で構成される、まちづくりに欠くことのできない存在であり、これをまちづくりの主体として位置付けます。
2 地域活動団体は、地域内の住民の意見の集約を図り、その地域における公共的課題の解決に努めるものとします。
3 地域活動団体は、運営ルールを明確にするとともに、開かれた運営を行い、地域内の住民が参加しやすいように活動を行います。
4 地域内の住民は、地域活動団体がまちづくりにおいて果たしている役割を認識し、尊重するとともに、その活動に積極的に参加し、協力するよう努めます。

説明

第14条は、まちづくりにおける地域活動団体について定めています。地域活動団体は、地域内の住民の意思を反映する地域代表性を有し、地域に起こった問題全てに横断的に関わることができたり、向こう三軒両隣のつながりを作ることができたりといった、NPOや行政にはない特長があります。

  • 第1項は、地域活動団体をまちづくりの主体として位置付けることを定めています。
  • 第2項は、地域活動団体は、その地域の公共的課題の解決に努めることを定めています。課題の抽出に当たっては、地域内の住民相互の話合いが大切です。また、その解決に当たっては、小集団(地域事情によって異なりますが、例えば20~30世帯)での活動も有効と考えられます。
  • 第3項は、地域活動団体は、開かれた運営を行うこと等を定めています。運営があらゆる住民に開かれていることはもちろんですが、特に若い世代を巻き込み、次世代の担い手を育てることも大切です。
  • 第4項は、地域内の住民が地域活動団体に参加することを定めています。地域内の住民の積極的な関わりが地域活動団体の活性化につながります。

非営利活動団体

第15条 非営利活動団体は、自主的に公共的活動を行う、まちづくりに欠くことのできない存在であり、これをまちづくりの主体として位置付けます。
2 非営利活動団体は、自らの公共的活動を行うとともに、他の非営利活動団体等との連携を図りながら、課題の解決に努めるものとします。
3 非営利活動団体は、地域社会の一員として、それぞれの活動がまちづくりに関与しているという意識を持ち、市民が参加しやすいように活動を行います。

説明

第15条は、まちづくりにおける非営利活動団体について定めています。非営利活動団体は、制度がなかったり、隙間となっていたりする地域の課題に対して、先駆的・専門的に取り組むことができるといった、地域活動団体や行政にはない特長があります。

  • 第1項は、非営利活動団体をまちづくりの主体として位置付けることを定めています。
  • 第2項は、非営利活動団体は、他の非営利活動団体や地域活動団体等と連携し、課題解決に努めることを定めています。
  • 第3項は、非営利活動団体は、年齢・性別・職業などに関係なく、多様な市民が参加しやすいように活動することを定めています。
  • 市民は、まちづくりにおける重要な担い手として非営利活動団体の役割を認識し、尊重するとともに、積極的にその活動に参加し、行動することが求められます。

地域活動団体等への支援

第16条 市民及び市は、地域活動団体及び非営利活動団体が活発に活動を行うために必要な支援を行います。

説明

第16条は、地域活動団体及び非営利活動団体に対する支援について定めています。

  • 市は、「市民活動サポート補助金」で多様化する地域社会の課題解決に向けた活動を推進するとともに、地域活動団体及び非営利活動団体を支援する際、自主性や自立性を損ねないよう留意します。

地域におけるまちづくり

第17条 市は、地域の意思を反映させ、地域内の住民が自主的に身近な地域の課題の解決を図り、地域のことは地域内の住民が自ら考え、実行できるようにするため、連区(地域の合意による複数の町内会で形成された区域をいいます。)単位でまちづくりを進めるための施策を講じます。

説明

第17条は、地域におけるまちづくりの取組を推進することを定めています。

  • 住民に身近な地域の課題については、すべて市で処理するのではなく、地域のことを最もよく知っている住民が自ら考え、対処できる仕組みを作ります。具体的には、地域住民による自主的な地域活動の運営及び地域における課題の解決を図る「地域づくり協議会」という仕組みが、平成20年度から始まっています。

(注)13「地域づくり協議会」概要(一宮市市民協働課ウェブサイトより)

 「地域づくり協議会」は、統合された地域への交付金・委託金の受け皿になるなど、新しい地域自治の仕組みです。今まで別々に活動することが多かった地域の団体等が、連区単位の地域づくり協議会という同じテーブルにつき、地域のことを一緒に考え、実行します。町内会で解決できることは町内会で、できないことを地域づくり協議会で、それでもできないことを行政が行うという相互補完的な関係を目指しています。一部の連区では既に設置され、運営されていますので、その成果と課題を検証しながら柔軟に仕組みを変えていく必要があります。

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