市長メッセージ「まずは1,000台から『オンライン学習』」(令和2年5月26日)

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ページID 1035393  更新日 令和4年1月14日 印刷 

市のコロナ対策予算

 一宮市の小中学校も再開に向けて分散登校が始まりましたが、これからも新型コロナウイルスへの備えは怠ることができません。今月7日、コロナ対策の予算として、市長の専決処分を行いました。ひとり10万円の特別定額給付金が話題の中心でしたが、処分には、休校が続いた小中学校に向けて、できるだけ早くオンライン学習が実現できるように、まずは1,000台の貸出し用タブレットPCなどを調達する予算も1億円ほど盛り込みました。
 

文部科学省GIGAスクール構想:1人1台

 昨年12月、文部科学大臣が本部長の「GIGAスクール実現推進本部」が立ち上がり、「児童生徒1人1台端末」などの目標が打ち出されました。一宮市では、プログラミング教育のモデル校に指定されたり、ソフトバンクグループ株式会社社会貢献プログラムで、人型ロボットpepperが27小中学校に2百台近く無償で貸与されたり、と様々なICT教育の取り組みがありました。しかし、教育用コンピュータの配備は、愛知県が最低の県(47都道府県比較:表1)ですが、その県平均をも下まわる状況でした。
 このデータは、貸し出しで家庭利用に対応できるか否かまでは考慮されていません。ここで貸出し用のタブレットをそろえて一挙に挽回!と行きたいところですが、市内に小中学生が3万2千人超ですから、1人1台いっきに整備すると1台5万円でも16億円です。財政の貯金(財政調整基金)20億円あまりで緊急経済対策に15億円を使い、残りヒト桁の億円…と、やりくりしている当市では、簡単でない金額です。

都道府県別 教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数を表したグラフ
【表1】都道府県別 教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数

※文部科学省「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果(概要)」より

未来に向けた投資を効果的に

 市内で2017年~2018年に工事が行われた小中学校のエアコン整備は、総額30億円超でしたが、他の自治体より早く手がけたため、機器の調達も手こずることなく、比較的スムーズに安価に進めることができました。今年は夏休み短縮でフル稼働になりそうですが、さらに今後も10年以上にわたり活躍してくれそうです。

ところが、タブレットなどPC端末は、技術革新のスピードが速く、購入タイミングの見きわめが難しいところです。アプリ等のアップデートや、今は携帯の通信方式が第5世代(いわゆる5G)へ移行する過渡期であることも考慮に入れる必要があります。企業のテレワーク需要でタブレットやノートPCが市場で不足気味、との報道もあります。こうした状況を踏まえると、人口規模のある当市が、いま一挙に数十億円を投じて1人1台を公費で調達、というのは得策でないと判断しました。(←もちろん人口規模や財政状況、ICT整備レベルなど、市の置かれた状況によって、市ごとに異なる判断があると考えます。)

使えるものは使う、BYOD(=私物の活用)も

 4月にオンライン学習「トライアル」調査として、まだ一方通行でしたが、ネットを通じた動画の視聴環境が、どこまで家庭で整っているのか、市内12校で調べました。バラつきはあっても、おおむね9割の家庭では、既に私物でご覧いただけるとの調査結果でした。これからは、環境が整っていない児童・生徒のために、学校のPC教室を使う手もありますし、今回の市長専決の予算で、貸し出し用のタブレット端末1,000台やネットアクセス環境などを整備していきます。
 諸外国と比較して、子どもたちがデジタル機器を「チャット」「ゲーム」中心で使っている(しかし学習では使っていない)ことが、日本の特色として紹介されます(表2)。これは、日本の子どもたちのせいでなく、われわれ大人たちの責任です。外国でも、児童・生徒のタブレットPC等を全て公費で調達するのでなく、家庭のICT機器を学習でも活用する私物の持ち込みBYOD(Bring Your Own Device)が行われていると聞きます。一宮市の小中学校でも、学びのツールとしてのICT利用を、積極的に進めて行きたいと考えています。

OECD 2018年ICT活用調査:学校外での平日のデジタル機器の利用状況を表した図
【表2】OECD 2018年ICT活用調査:学校外での平日のデジタル機器の利用状況

※国立教育政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)のポイント」より

ハードと合わせてソフトも充実。市内の先生の動画100万!アクセス

 愛知県は株式会社リクルートの「スタディサプリ」授業動画などを県立高校に通う生徒が視聴できるようにする、と発表しています。タブレットPCなどオンライン学習のハード面のみならず、ソフト面として授業動画やアプリ等をどうやって充実させていくか、ということも、重要な課題です。教室で対面利用されてきた“紙の教科書”は、電子的な送信について著作権法上の課題もあり、今年度は「補償金なし」で利用可となったそうですが、早く“電子教科書”の誕生も待ち望まれるところです。
 一宮市では、学年別・教科別で、小中学校の先生たちがオリジナルの学習動画をアップしたところ、4月26日から3週間(5月14日)で100万!アクセスという実績を残しました。もちろん、民間の既製品・汎用品も良いでしょうが、自分たちに身近な先生の言葉を、いかに児童・生徒たちが待ち望んでいるかの証(あかし)と受けとめました。取り組んでいただいた教職員の皆さんに、あらためて感謝を申し上げます。

アフター・コロナ

 新型コロナウイルス対応を契機として、世の中のデジタル化や変革が一挙に進むことは、確実視されています。一宮市内の小中学生が、新しい時代を生き抜いていく力をつけられるように、市内の関係者の英知を結集しながら、引き続きの環境整備を進めてまいります。

 

令和2年5月26日 一宮市長 中野 正康

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